2009年度
「福祉国家の歴史と現在」

新潟大学法学部「特殊講義(戦後政治)」


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シラバス

[概要]

題目:「福祉国家の歴史と現在」

20世紀 の先進諸国の政治を「福祉国家」を軸に考察する。20世紀に先進諸国に広く受け入れられた福祉国家は、1980年以降、大きな再編の只中にある。その背後 にはグローバル化など共通の要因が指摘される一方、具体的な再編のあり方は国ごとに多様である。この講義では、先進諸国の福祉国家を歴史(形成・発展・変容)、比較(日本、スウェーデン、イギリス、アメリカ、ドイツ、フランス)、思想(福祉国家を支える理念)のそれぞれの側面から検討し、現代政治の主要な対立軸のひとつを理解することを目指す。

[到達目標]

(1)各国の政治経済体制の特徴を、歴史的背景を含めて理解すること。
(2)現代福祉国家の抱える諸課題と各国の対応を、統一的な視座の下に理解すること。
(3)日本の今後の針路について自分なりの意見を持つこと。

[受講要件等]

日本のみならず、先進諸国の政治・経済動向に関心を持つ学生向けの内容である。

[履修上の注意]

日々の国内外のニュースによく目を配り、新聞を読むこと。
毎回B6版の小ペーパーを配布するので、疑問点や意見を書いて提出すること。
復習を行い、分からなかった語句等を事典・教科書で調べること。

[授業計画]

各項目をできる限り一回で講義する。

1 福祉国家原論
  (1)福祉国家とは何か
  (2)福祉国家の分析枠組み(商品化/脱商品化)

2 戦後福祉国家の形成
  (1)各国の社会類型(自由主義/保守主義/社会民主主義)
  (2)福祉国家の形成@(イギリス、アメリカ)
  (3)福祉国家の形成A(ドイツ、フランス)
  (4)福祉国家の形成B(スウェーデン)
  (5)日本の福祉国家形成

3 福祉国家の危機と再編
  (1)黄金の30年から福祉国家の危機へ   
  (2)福祉国家の再編@(新自由主義的改革)
  (3)福祉国家の再編A(社会民主主義の刷新)
  (4)福祉国家の再編B(連帯の再構築)
  (5)日本型福祉社会の変容

4 福祉国家のゆくえ
  (1)国際福祉レジームの展開
  (2)まとめと展望

[成績評価の方法と基準]

学期末レポート(100%)による相対評価。レポートの内容は、授業内容のまとめと各自の調査・考察を含んだものとする。

[使用テキスト]

レジュメを用意する。
講義期間中に下記の参考文献の上二冊に目をとおすことが望ましい。

[参考文献]

新川・井戸・宮本・眞柄『比較政治経済学』有斐閣アルマ、2004年
広井良典『日本の社会保障』岩波新書、1999年
エスピン=アンデルセン『福祉資本主義の三つの世界―比較福祉国家の理論と動態』ミネルヴァ書房、2001年
新川敏光『日本型福祉レジームの発展と変容』ミネルヴァ書房、2005年

詳しい参考文献リストはこちらを参照。